## キケロの友情について
###
執筆の背景
キケロが『友情について』を執筆したのは紀元前44年、ローマが内乱の渦中にあった時期です。 キケロ自身も政争に巻き込まれ、失意のどん底にありました。 その年に、親友であったティトゥス・ポンポニウス・アッティクスから友情について執筆するように勧められ、彼はこの作品を書き上げました。
###
作品の内容と構成
『友情について』は、ガイウス・レピドゥス、ガイウス・ファンニウス、クィントゥス・ムキウス・スカエウォラの3人が登場する対話篇という形式で書かれています。 彼らは、ローマの偉大な政治家であり軍人であったスキピオ・アフリカヌスの死後104年目の命日に、彼の別荘に集まり、友情について語り合います。
作品は大きく3つの部分に分かれています。
* 第1部では、友情の素晴らしさと重要性、そして友情がもたらす利益について論じられています。
* 第2部では、友情を育むための条件や、友情を維持するための方法について具体的に述べられています。
* 第3部では、現実の政治状況を踏まえ、政治と友情の両立の難しさについて考察されています。
###
登場人物と彼らの関係性
* **ガイウス・レピドゥス:** 紀元前130年頃に護民官を務めた人物。作中では、友情の重要性を説く役割を担っています。
* **ガイウス・ファンニウス:** 紀元前122年に執政官を務めた人物。作中では、友情の脆さや、友情がもたらす苦悩について語ります。
* **クィントゥス・ムキウス・スカエウォラ:** 紀元前117年に執政官を務めた人物。作中では、現実的な視点から、政治と友情の両立の難しさについて論じます。
3人とも、ローマの歴史上重要な役割を果たした実在の人物です。キケロは、彼らを登場人物にすることによって、作品にリアリティと重厚さを与えています。
###
作品の影響
『友情について』は、古代ローマ時代から現代に至るまで、友情論の名著として広く読まれ続けてきました。
友情の素晴らしさ、友情を育むことの大切さ、そして友情の難しさについてのキケロの洞察は、時代を超えて多くの人々の共感を呼んでいます。