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カントの判断力批判のメカニズム

## カントの判断力批判のメカニズム

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判断力とは何か

カントにとって判断力(Urteilskraft)とは、
「**特定の事物に一般的概念を包摂する能力**」、
言い換えれば「**個別のものを法則のもとに思考する能力**」です。

これは、個別の事物に既知の概念を適用して認識する「**決定力**」(Verstand)とも、
普遍的な道徳法則から個別の状況における行動の指針を導き出す「**理性**」(Vernunft)とも異なる能力です。

判断力は、決定力と理性の間に位置し、
両者を媒介する働きを担います。

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美的判断と目的論的判断

『判断力批判』においてカントは、判断力を「**美的判断力**」と「**目的論的判断力**」の二つに分類します。

* **美的判断力**は、対象の形式的な調和に基づいて快・不快を判断する能力であり、
これは美的対象の認識を可能にします。

* **目的論的判断力**は、自然物の構造や機能に目的を見出すことで自然を理解しようとする能力です。

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美的判断のメカニズム:想像力と悟性の自由な戯れ

カントは、美的判断において中心的な役割を果たすものとして「**想像力**」(Einbildungskraft)を挙げます。

想像力は、感覚によって与えられた多様な表象を統覚のもとに統一する働きを持ちます。

美的判断においては、想像力は悟性(Verstand)の働きから解放され、「**自由な戯れ**」の状態となります。

つまり、概念に縛られることなく、自由に表象を結びつけます。

この想像力と悟性の自由な戯れによって、私たちは対象から「**美的快楽**」を得ます。

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目的論的判断のメカニズム:合目的性の原理

自然は因果律に支配された機械論的なシステムですが、
私たちはそのような自然の中に目的を見出すことがあります。

例えば、生物の複雑な構造や機能は、
あたかも何らかの目的のために設計されたかのように見えます。

カントはこのような目的を見出す能力を「**目的論的判断力**」と呼び、
その働きを説明するために「**合目的性の原理**」を導入します。

合目的性の原理とは、「**自然物は、あたかもそれが目的を持って存在しているかのように見なしうる**」という考え方です。

ただし、カントは自然に実際に目的が存在すると主張しているのではありません。

合目的性の原理は、あくまで人間の認識能力の限界を踏まえた上で、
複雑な自然現象を理解するための「**規則**」として提示されたものです。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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