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カントの人倫の形而上学・法論の選択

カントの人倫の形而上学・法論の選択

選択とは何か

カント倫理学において、「選択」は人間の行為の根幹をなす重要な概念です。カントは、人間の行為を、単なる自然法則に支配されたものとは区別し、理性に基づいて自律的に行為する能力、すなわち「意志」の働きによってなされると考えました。そして、この意志が行為を決定する際に中心的な役割を果たすのが「選択」です。

選択は、単なる行為のきっかけとなるものではありません。カントは、人間が様々な欲求や感情、外的状況に影響されながらも、最終的には理性に基づいて行為を決定すると考えました。選択とは、まさに理性によって導かれ、行為の目的や方法を決定する行為そのものです。

選択における感性と理性の関係性

カントは、人間の認識能力を感性と理性に分けました。感性は、外界からの刺激を受け取る受動的な能力であり、理性は、感性によって得られた素材を整理し、概念や法則を作り出す能動的な能力です。

選択においても、感性と理性の両方が関わってきます。私たちは、まず感性によって快不快を感じ、特定の対象に惹きつけられたり、逆に避けようとしたりします。しかし、カントによれば、感性はあくまでも主観的なものであり、普遍的な道徳法則の根拠となることはできません。

真に道徳的な行為を行うためには、理性によって感性を制御し、普遍的な道徳法則に従う必要があります。選択においては、理性は道徳法則を判断基準として用い、感性に流されることなく、道徳的に正しい行為を選択するように促します。

選択と自由

カントは、人間の自由を「自律」という概念と結びつけました。自律とは、他律の反対概念であり、外的要因や内的欲求に依存せず、自らの理性に従って法則を与える能力を指します。

カント倫理学において、選択は自由と密接に関係しています。真に自由な選択とは、外的要因や内的欲求に決定されるのではなく、理性的意志に基づいて自律的に行われる選択です。

ただし、カントは、自由を「何でもできる」という意味での自由とは考えていません。真の自由とは、道徳法則に従って行為すること、すなわち自律的に行為することです。逆に、道徳法則を無視し、自分の欲求のままに行為することは、感性や外的要因に支配された「他律」の状態であり、真の自由とは言えません。

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