# カルヴァンのキリスト教綱要の構成
###
第1巻
キリスト教の認識について
第1巻は、「創造主なる神について人間に可能な認識」「聖書の権威」の2つの部分から構成されます。
* **第1部 創造主なる神について人間に可能な認識**
神認識の2つの道(自然と啓示)について論じ、人間の内に神認識が植え付けられていることを示します。しかし、罪によって人間の理性は堕落しており、神に関する真の知識は神の啓示である聖書によってのみ得られると主張します。
* **第2部 聖書の権威**
聖書は人間の言葉ではなく、神の言葉であることを主張し、聖書の権威を理性ではなく聖霊によって認識することを論じます。また、伝統と聖書の関係を論じ、聖書のみが信仰と生活の唯一の規則であると結論づけます。
###
第2巻
神の認識について(原罪とキリストにおける神の恩寵)
第2巻は、「人間の堕落」「原罪」「律法」「キリストにおける神の恩寵」の4つの部分から構成されます。
* **第1部 人間の堕落**
アダムの創造について論じ、原初の人間の状態がいかに優れていたかを説明します。その後、アダムの堕落によって人間の理性と意志が堕落したことを論じます。
* **第2部 原罪**
原罪の教理について詳しく解説し、すべての人間がアダムの罪によって堕落した状態に生まれ、神の怒りのもとにあることを説明します。
* **第3部 律法**
律法の目的を3つに分け、それぞれを解説します。律法は人間を罪の自覚に導き、キリストへと導くためのものです。
* **第4部 キリストにおける神の恩寵**
旧約聖書におけるキリストの先型を論じた後、キリストの人格と働きについて詳しく解説します。キリストは預言者、祭司、王としての職務を果たし、信者を罪と死から救い出す救い主であると論じます。
###
第3巻
キリストにあって与えられる救いの享受の仕方について(信仰による義認と聖霊の働き)
第3巻は、「聖霊の働き」「信仰」「悔い改め」「キリストに接ぎ木されること」「義認」「聖化」の6つの部分から構成されます。
* **第1部 聖霊の働き**
聖霊の働きがなければ、人はキリストを信じることができないことを説明します。聖霊は、人間の心を照らし、キリストの福音を理解させ、信仰へと導く働きをします。
* **第2部 信仰**
信仰を「神と神の約束に対する確実で堅固な知識」と定義し、信仰の対象、知識、確信について論じます。
* **第3部 悔い改め**
悔い改めを「心が神に向かうこと」と定義し、悔い改めには罪の自覚、罪の告白、罪からの離反が含まれることを説明します。
* **第4部 キリストに接ぎ木されること**
信者がキリストと神秘的に結びつくことによって、キリストの義と聖さが与えられることを説明します。
* **第5部 義認**
義認とは、キリストの義を私たちのものとして受け入れることによって、神から義と認められることを意味します。義認は、行為ではなく、信仰のみによる神の恵みによるものであると強調します。
* **第6部 聖化**
聖化とは、義と認められた者が、聖霊の力によって、日々、罪を滅ぼし、キリストに似た者へと変えられていくプロセスです。
###
第4巻
教会の外形、または教会をキリストに結びつける外部的な手段について
第4巻は、「教会」「教会の権威と聖書の解釈」「教会の統治」「教会の権能」「世俗の権力」の5つの部分から構成されます。
* **第1部 教会**
教会を「キリストを頭とし、聖霊によって一つに結びつけられた、選ばれた者の集まり」と定義します。教会は目に見える教会と目に見えない教会から成り、真の教会の標はみことばの純粋な説教と聖礼典の正しい執行であるとします。
* **第2部 教会の権威と聖書の解釈**
教会は聖書を解釈する権威を持つが、教会の権威は聖書の下に置かれるべきであると主張します。
* **第3部 教会の統治**
教会の職制について論じ、牧師、教師、長老、執事の4つの職務を定めます。
* **第4部 教会の権能**
聖礼典は、洗礼と聖餐式の二つのみであるとし、それぞれの意味と意義について解説します。
* **第5部 世俗の権力**
国家権力は神の秩序の一部であり、キリスト教は国家権力に従順であるべきことを論じます。しかし、国家権力が教会の自由を侵害する場合は、抵抗する権利も認められるとします。