## カルヴァンのキリスト教綱要の企画書
### 執筆の背景
1530年代初頭、フランス出身の人文主義者であり、法律家を志す若者であったジャン・カルヴァンは、突如として宗教改革の嵐に巻き込まれることとなった。神の圧倒的な力と恩寵の前に、自らの無力さと罪深さを痛感したカルヴァンは、伝統的な教会の権威に疑問を抱き、聖書こそが唯一絶対の真理であると確信するに至る。
### 執筆の目的
本書の執筆目的は以下の2点である。
1. **キリスト教信仰の真髄を明確かつ簡潔に解説する**: 当時のキリスト教界は、宗教改革の混乱により、教義解釈や実践において混乱が生じていた。そこで、聖書に基づいた、誤解の余地のない明確な信仰の指針を示す必要があった。
2. **フランス国王フランソワ1世に福音を伝える**: 迫害を受けているフランスのプロテスタント、特に福音に心を動かされながらもカトリックの伝統に囚われているフランソワ1世に、聖書の真理を伝え、真の信仰へと導くことを目指した。
### 本書の構成（予定）
本書は、キリスト教信仰の全体系を網羅した、包括的な教理問答書として構成する。
1. **神の認識**: 神の唯一性、三位一体、聖書の権威など、キリスト教信仰の基礎を築く。
2. **人間の堕落**: アダムの堕罪による人間の罪の現実と、それによって生じた神との断絶を明らかにする。
3. **キリストによる救済**: 父なる神による人間の救済計画と、それを実現するためにこの世に来られたイエス・キリストの贖罪の御業を詳説する。
4. **信仰による義認**: 救いは、人間の行いではなく、キリストへの信仰のみによって与えられることを強調する。
5. **聖霊の働き**: 信仰生活において、聖霊がどのように働き、信者を聖化していくのかを解説する。
6. **教会論**: 真の教会のあり方、聖礼典の意味、教会と国家の関係について論じる。
7. **キリスト者の生活**: 信仰によって新しくされた者が、日常生活においてどのように生きるべきかを具体的に示す。
### 本書の特色
1. **聖書中心主義**: あらゆる教義や主張の根拠を聖書に置き、聖書の権威を最高のものとする。
2. **明瞭な論理**: 法律家としての論理的思考を駆使し、難解な教義を体系的に、分かりやすく解説する。
3. **実践的な指針**: 単なる教理の説明に留まらず、信仰が日常生活においてどのように具現化されるべきかを具体的に示す。
### 読者層
* **フランス国王フランソワ1世**: 本書の主な対象読者として、福音の真理を伝え、信仰への転向を促す。
* **知識人や宗教改革に関心を持つ人々**: 当時の社会情勢や宗教改革の広がりを背景に、キリスト教信仰への関心が高まっていたため、そうした人々に対して新たな指針を提供する。
* **教会指導者や神学生**: 信仰教育の教材として活用することで、教会全体の信仰の成熟と一致を促進する。
### 期待される効果
1. **フランスにおける宗教改革の進展**: 本書を通して、フランス国王を含む多くの人々が福音に触れ、真の信仰へと導かれることが期待される。
2. **キリスト教信仰の復興**: 聖書中心の明確な信仰の指針を示すことで、宗教改革の混乱を収拾し、キリスト教信仰の真の復興に貢献する。
3. **教会の一致と発展**: 教理的な混乱を解消し、共通の信仰告白を確立することで、教会の一致と健全な発展を促す。