## カルヴァンのキリスト教綱要の世界
神の絶対的主権
カルヴァンの神観において最も重要な点は、神の絶対的主権です。
彼は、世界の創造、維持、支配を含むすべての事柄において、神が絶対的な力と支配力を持つと主張しました。
人間の自由意志や選択も、神の予定の一部であり、すべてが神の栄光のためにあらかじめ定められているとされました。
予定説
神の絶対的主権から導き出される重要な教義として、予定説があります。
これは、神が世界の創造以前から、誰が救われ、誰が滅ぼされるかをすでに決定しているという考え方です。
カルヴァンは、予定説は神の憐れみと公正さを示すものであり、人間の功績や努力によって救いが得られるわけではないと強調しました。
聖書
カルヴァンは、聖書こそが神の言葉であり、信仰と生活の唯一の規範であると信じていました。
彼は、聖書の権威は教会や伝統ではなく、神自身から直接もたらされると主張しました。
また、聖書はすべての人に開かれており、聖書の解釈は聖霊の導きによって可能になるとしました。
教会
カルヴァンは、教会を「神の選民の共同体」と定義し、真の教会は正しい教理を説き、聖礼を正しく執行し、キリストの支配に従うことを重視しました。
彼はまた、教会の統治には牧師、長老、執事の三つの職務が必要であると考え、教会の規律を重視しました。
聖礼
カルヴァンは、洗礼と聖餐の二つを聖礼として認めました。
彼は、聖礼は神の恵みを外的に表すものであり、信仰を通してその恵みを受けることができるとしました。
ただし、聖礼そのものに効力があるわけではなく、あくまで神の恵みのしるしとして理解しました。
これらの要素は、「キリスト教綱要」の世界を理解する上で重要な柱となります。
カルヴァンはこれらの概念を体系的に説明することで、当時のキリスト教界に大きな影響を与えました。
彼の思想は、後のプロテスタント教会、特に改革派教会の教義と実践に大きな影響を与え、現代社会にも影響を与え続けています。