## カミュの反抗者の評価
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出版当時の評価
「反抗者」は、1951年にフランスで出版されました。サルトルとの論争のきっかけとなったことでも知られており、発表当時は、全体主義を擁護するものではないかと、共産主義者から激しい批判を受けました。また、当時の知識人の間では、歴史や形而上学に関するカミュの主張が十分に論証されていないという批判もありました。一方で、ニヒリズムを超克しようとする試み、人間の尊厳と自由を擁護する姿勢は、高く評価されました。
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後世からの評価
「反抗者」は、カミュの代表作の一つとして、今日でも広く読まれています。後世の研究者たちは、「反抗者」を、カミュの思想の転換点と捉え、「異邦人」や「ペスト」といった作品におけるニヒリズムを超克しようとする試み、また「シーシュポスの神話」で展開された「不条理」の概念をさらに発展させようという試みとして評価しています。「反抗者」は、20世紀後半の思想、特に実存主義やポスト構造主義に大きな影響を与えました。また、現代社会における様々な問題、例えばテロリズムや政治的暴力、個人の自由と社会の秩序との関係を考える上で、重要な視点を提供する作品として、再評価されています。