カポーティの冷血の構成
パート1：クルー家の人々
「カポーティの冷血」は、パートごとに視点と時間が転換する特徴的な構成を持つノンフィクション・ノベルです。パート1は、1959年11月14日、カンザス州ホルコムの平凡な一日を、クルー一家を中心に描いています。裕福で地域社会に貢献する善良な一家であるクルー家は、ハーブ、ボニー、ナンシー、キーニョンの4人家族です。ハーブは勤勉な農場経営者であり、ボニーは心の優しい主婦ですが、過去に精神的な問題を抱えていました。ナンシーは才色兼備で人気者、弟のキーニョンは内気で思春期の少年です。
パート2：ディックとペリー
パート2では、クルー家とは対照的に、粗暴で不安定な生活を送る二人の男、ペリー・スミスとディック・ヒコックが描かれます。ペリーは小柄で芸術的な感性を持つ男ですが、幼少期の家庭環境が原因で劣等感と怒りを抱えています。一方、ディックは体格が良く、表面的には魅力的な男ですが、衝動的で無責任な性格です。二人は刑務所で知り合い、出所後に再会し、共に「一攫千金」を狙ってクルー家を襲撃するという計画を立てます。
パート3：回答のない質問
パート3では、事件発生後の捜査と、ホルコムの住民に広がる恐怖と不安が描かれます。クルー一家惨殺事件の捜査は難航し、捜査官たちは事件の動機や犯人の特定に苦戦します。一方、穏やかだったホルコムの住民たちは、一家惨殺という未曾有の事件に衝撃を受け、恐怖と疑心暗鬼に陥っていきます。
パート4：コーナー
パート4では、逃亡中のディックとペリーに視点が移り、メキシコへの逃避行が描かれます。二人は盗んだ車で国中を転々とし、偽名を使って小切手を偽造するなどして資金を稼ぎながら逃亡生活を送ります。しかし、次第に金銭的にも精神的にも追い詰められ、互いに疑心暗鬼を募らせていきます。
パート5：答え
パート5では、ついにディックとペリーが逮捕され、事件の全容が明らかになります。警察の執念の捜査により、二人はラスベガスで逮捕されます。逮捕後、ディックはあっさりと犯行を自供しますが、ペリーは当初は犯行への関与を否定します。しかし、最終的には二人とも犯行を認め、裁判で死刑判決を受けます。
パート6：最後の審判
パート6では、死刑判決を受けたディックとペリー、そして事件の関係者たちのその後が描かれます。ディックは獄中結婚をし、控訴を試みるも失敗します。一方、ペリーは罪の意識に苦しみながらも、死刑執行までの時間を静かに過ごします。1965年4月14日、ディックとペリーはカンザス州立刑務所で絞首刑に処されます。