カッシーラーのシンボル形式の哲学の原点
カント哲学の影響
カッシーラーの哲学は、イマヌエル・カントの批判哲学に深く根ざしています。カントは、人間の認識能力が、外界からの感覚データを受動的に受け取るのではなく、能動的に概念を用いて構成すると主張しました。カッシーラーは、カントの超越論的主観性をさらに発展させ、「シンボル形式」という概念を中核に据えました。
新カント派との関連
カッシーラーは、ヘルマン・コーヘンやパウル・ナトルプといったマールブルク学派の新カント主義者たちと深い関わりを持っていました。新カント派は、カント哲学を基盤に、科学や文化、歴史といった領域における人間の認識の役割を重視しました。カッシーラーは、新カント派の思想から大きな影響を受けつつも、彼らとは異なる独自の哲学体系を構築していきました。
文化現象への関心
カッシーラーは、哲学の探求対象を認識論にとどめず、言語、神話、芸術、宗教、科学といった多様な文化現象にまで拡大しました。彼は、人間を「シンボルを用いる動物」と定義し、文化現象を「シンボル形式」を通して理解しようと試みました。カッシーラーにとって、シンボル形式とは、人間が世界を理解し、表現するための独自の手段であり、人間文化の根底にある創造的な力を表すものでした。