オースティンの説得の対極
「高慢と偏見」:社会的圧力と個人の成長
ジェイン・オースティンの「説得」は、社会的なプレッシャーによって過去の愛を諦めたアン・エリオットが、8年後、再び想いを寄せるウェントワース大佐と再会し、周囲の思惑や自身の臆病さと葛藤しながらも、最終的には自分の気持ちに正直になり、愛を貫き通す物語です。
一方、「高慢と偏見」は、主人公のエリザベス・ベネットが、自身の偏見や社会的な先入観にとらわれず、ダーシーの真実の姿を見抜き、最終的に彼と結ばれるまでを描いています。
両作品は、恋愛、結婚、社会的な階級といった共通のテーマを取り扱っていますが、「説得」が過去の後悔と再出発をテーマとする一方、「高慢と偏見」は、成長と自己発見の物語として描かれています。
「説得」では、アンは周囲の説得によってウェントワース大佐との婚約を解消し、その後悔を抱えながら生きていきます。彼女は静かで控えめな性格で、自分の意見を主張することが苦手です。対照的に、「高慢と偏見」のエリザベスは、知的で独立心が強く、自分の意見をはっきりと言うことができます。彼女は、周囲の偏見や社会的な圧力に屈することなく、自分の力で幸せを掴み取ろうとします。
このように、「説得」と「高慢と偏見」は、登場人物の性格や物語のテーマにおいて対照的な作品と言えるでしょう。