オレムの看護の一般理論の技法
オレムの看護の一般理論における技法
オレムの看護の一般理論における主要な技法は、「セルフケア要求」と「セルフケア不足」の評価に基づいて、看護師が患者に対して行う**援助の方法**として提示されています。これらの援助の方法(または技法)は、完全に補償的なものから、部分的に補償的なもの、そして患者のセルフケア能力を高めることを目的とした教育や指導まで、多岐にわたります。
具体的な技法
オレムは、看護師が患者に提供できる援助の方法として、以下の3つのカテゴリーと、8つの具体的な技法を提示しています。
**1. 全面的的に補償する**
* **1. 他者のために行動すること:** 患者が自分で全くできないセルフケアを、看護師が代わりに行う。例えば、意識のない患者の身の回りの世話、重度の麻痺のある患者の移動、呼吸困難な患者のための酸素吸入など。
* **2. 他者を導くこと:** 患者が自分で判断したり、選択したりすることが難しい場合に、看護師が代わりに行う。例えば、認知症の患者の服選び、意思決定能力が低下した患者の治療計画への同意など。
* **3. 他者を支えること:** 患者が自分で行動するのが困難な場合に、看護師が身体的、心理的に支える。例えば、歩行困難な患者の移動介助、不安の強い患者の精神的なサポートなど。
**2. 部分的に補償する**
* **4. 他者と共に行動すること:** 患者が一部できるセルフケアについて、看護師が協力して行う。例えば、部分的に麻痺のある患者の食事介助、創傷治癒中の患者のドレッシング交換の補助など。
* **5. 他者を教育すること:** 患者が将来自らセルフケアを行えるように、必要な知識や技術を教える。例えば、糖尿病患者への食事療法やインスリン注射の指導、手術後の患者へのリハビリテーションの指導など。
**3. セルフケア能力を高める**
* **6. 他者とコミュニケーションをとること:** 患者が自分の考えや気持ちを表現できるよう、共感的態度で耳を傾け、対話する。
* **7. 環境を整備すること:** 患者が安全かつ快適にセルフケアを行えるように、周囲の環境を整える。例えば、転倒リスクの高い患者のための環境調整、感染予防のための清潔な環境の提供など。
* **8. 他者を育成すること:** 患者が自分の可能性を最大限に発揮し、自立した生活を送れるように、励まし、勇気づける。
技法選択の基準
これらの技法は、患者のセルフケア能力、疾患の状態、年齢、発達段階、文化、価値観などを考慮し、状況に応じて選択、組み合わせることが重要です。