オレムの看護の一般理論と言語
オレムの看護の一般理論
ドロシア・オレムは、1971年に「Nursing: Concepts of Practice」の中で、自己ケア不足看護理論(Self-Care Deficit Nursing Theory)として知られる看護理論を発表しました。これは、後に「オレムの看護の一般理論」と呼ばれるようになり、看護における重要な理論の一つとして位置づけられています。
オレムの理論は、人間は本来、自身の健康を維持し、促進するために必要なケアを行う能力と責任を持っているという信念に基づいています。しかし、病気、障害、発達段階などによって、その能力が不足する場合があります。この自己ケア能力と、実際に行う自己ケアとの間にギャップが生じた状態を「自己ケア不足」と呼びます。
看護師の役割は、この自己ケア不足を補い、患者が再び自立して自己ケアを行えるように支援することです。具体的には、看護師は、患者自身の自己ケア能力を高める、患者に代わってケアを提供する、患者が自己ケアを行えるように環境を整える、といった介入を行います。
言語と概念
オレムの理論は、独自の用語や概念を用いて構成されています。ここでは、主要なものをいくつか紹介します。
* **自己ケア**: 個人が必要とするケアを自身で行うこと。
* **自己ケア要件**: 健康を維持するために必要なケアの内容。
* **自己ケア不足**: 自己ケア要件と自己ケア能力とのギャップ。
* **看護システム**: 看護師が患者に提供するケアのシステム。
* **完全代償系**: 患者が全く自己ケアできない場合に、看護師が全てケアを提供するシステム。
* **一部代償系**: 患者が部分的に自己ケアできる場合に、看護師が残りの部分を補うシステム。
* **支持教育系**: 患者が自己ケア能力を高めることを支援するシステム。
これらの用語や概念を理解することは、オレムの理論を深く理解し、看護実践に活かしていく上で重要となります。