エールリヒの法社会学基礎論が関係する学問
### エールリヒの「法社会学基礎論」とは？
オイゲン・エールリヒ（Eugen Ehrlich, 1862-1922）は、オーストリアの法学者であり、「法社会学の父」と称されます。彼は、1913年に出版された主著『法社会学基礎論』の中で、それまでの法学の主流であった「法実証主義」や「自然法論」を批判し、新しい法学の理論として「法社会学」を提唱しました。
### 法社会学の視点：法の「現実」への着目
エールリヒは、法を「社会における事実」として捉え、法典に書かれた条文や裁判所の判決といった「形式的な法」だけでなく、社会の中で人々が実際に従っている「生きた法」に注目しました。彼は、この生きた法を「社会生活の事実としての法」と呼び、法社会学の研究対象としました。
### 法多元論：国家法を超えた法の存在
エールリヒは、社会には国家が制定する法以外にも、商習慣や慣習、道徳、宗教など、人々の行動を規律する様々な規範が存在すると考えました。そして、これらの規範も、人々の生活において重要な役割を果たしており、「法」として認めるべきだと主張しました。これは「法多元論」と呼ばれる考え方です。
### 法形成における社会の役割：法は社会から生まれる
エールリヒは、法は国家によって一方的に作られるものではなく、社会の中で人々の相互作用を通じて徐々に形成されていくものだと考えました。そして、裁判官や法学者といった専門家だけでなく、一般の人々も、法の形成に重要な役割を果たしていると主張しました。
### 「法社会学基礎論」が関係する学問分野
エールリヒの「法社会学基礎論」は、法学はもちろんのこと、社会学、政治学、人類学、歴史学など、幅広い分野に影響を与えました。彼の思想は、法を社会との関連の中で理解しようとする、現代の法社会学の基礎となっています。