## エーコの薔薇の名前の構成
物語の形式
： 複数の形式が重層的に用いられている点が特徴。
* **歴史推理小説**：14世紀のイタリアの修道院を舞台に、発生する連続殺人事件の謎を、主人公であるフランチェスコ会修道士ウィリアム・オブ・バスクervilleが、理性と論理に基づいた推理で解明していく。
* **歴史小説**：14世紀のヨーロッパにおける、フランチェスコ会とベネディクト会の対立、教皇庁の権力闘争、異端審問といった歴史的事件や宗教的な問題が背景として描かれる。
* **書物型ミステリ**: 修道院の図書館とその蔵書が重要な役割を果たし、書物や知識をめぐる謎が展開される。
構成
：大きく7つの「日」と、それぞれの日に対応する祈祷時によって区切られている。
* **第1日（日曜日）**：物語の舞台となる修道院に到着したウィリアムが、修道院の構造やそこで起こった事件について聞き、推理を開始する。
* **第2日（月曜日）**：最初の犠牲者が出現。ウィリアムは修道院の図書館と、その禁書庫の存在を知る。
* **第3日（火曜日）**：2人目の犠牲者が出現。ウィリアムは修道院図書館への侵入を試みる。
* **第4日（水曜日）**：異端審問官ベルナール・ギーが修道院に到着。ウィリアムは修道院長の導きで図書館の一部を見学する。
* **第5日（木曜日）**：3人目の犠牲者が出現。ウィリアムとアドソは、図書館の隠し部屋に続く迷宮のような構造を発見する。
* **第6日（金曜日）**：ウィリアムは、これまでの犠牲者の共通点から、事件の謎を解き明かそうとする。
* **第7日（土曜日）**：事件の真相が明らかになり、犯人とその動機が判明する。修道院は大火災に見舞われ、図書館も焼失する。
視点
：物語は、ウィリアムの弟子であるアドソが、老齢になってから過去の出来事を回想する形で語られる。
* **一人称視点**: アドソの主観的な視点から物語が語られるため、読者はアドソと同様に、ウィリアムの推理を追体験していくことになる。
* **回想形式**: 物語は、過去の出来事に対する回想として語られるため、読者は、アドソが長い年月を経て得た知識や解釈を通して物語を理解することになる。