## エーコのボードリーノの面白さ
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歴史とフィクションの交錯
「ボードリーノ」は、12世紀のイタリアを舞台に、実在した皇帝フリードリヒ1世に仕えたとされる語り手ボードリーノの冒険を描いた歴史小説です。しかし、作中には実在の人物や出来事だけでなく、架空の人物や出来事も多く登場します。
例えば、ボードリーノは、十字軍に参加してエルサレムを征服したという武勇伝や、伝説の王国プレスビテリ・ヨハネを訪れたという驚くべき体験を語ります。しかし、これらの話は、ボードリーノ自身の創作なのか、それとも実際にあった出来事なのか、読者には判断がつきません。
このように、「ボードリーノ」は、歴史的事実とフィクションを巧みに織り交ぜることで、読者に歴史の真実とは何かを問いかける作品となっています。
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魅力的な語り手ボードリーノ
「ボードリーノ」の魅力の一つは、何と言っても語り手であるボードリーノ自身のキャラクターにあります。ボードリーノは、機転が利き、雄弁で、機知に富んだ人物として描かれています。しかし同時に、嘘つきで、お調子者で、自分の利益のためには手段を選ばないという一面も持ち合わせています。
ボードリーノは、自分の体験を面白おかしく語りますが、その話がどこまで本当なのかは定かではありません。読者は、そんなボードリーノの話に翻弄されながらも、彼の魅力的な語り口に引き込まれていくことでしょう。
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中世ヨーロッパの世界観
「ボードリーノ」は、12世紀のヨーロッパを舞台に、当時の文化、宗教、社会などを生き生きと描写しています。読者は、十字軍、異端審問、錬金術など、中世ヨーロッパを象徴する出来事や風習を、ボードリーノの冒険を通して追体験することができます。
また、作中には、当時の食文化や服装、建築などに関する描写も豊富に盛り込まれており、読者はまるで中世ヨーロッパの世界にタイムスリップしたかのような感覚を味わえるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。