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エリアーデの聖と俗の対極

## エリアーデの聖と俗の対極

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エリアーデの「聖と俗」

ルーマニア出身の宗教史家ミルチャ・エリアーデの主著『聖と俗』(原題:Le Sacré et le Profane, 1957年)は、宗教現象を「聖なるもの」と「俗なるもの」の対立概念から解釈しようとした著作です。エリアーデによれば、「聖なるもの」とは、超越的な力や価値をもち、人々に畏怖や崇敬の念を抱かせるものを指します。一方、「俗なるもの」とは、日常生活における profane な、言い換えれば世俗的な事柄を指します。

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「聖と俗」の対極に位置する歴史的名著:候補とその問題点

エリアーデの「聖と俗」の対極に位置する歴史的名著として、明確に一対一で対応するような単一の書物を挙げることは困難です。なぜなら、エリアーデの論考は多岐にわたる学問分野に影響を与えており、その反論や批判もまた、多様な文脈の中で展開されてきたからです。

例えば、エリアーデの「聖と俗」の二元論的な世界観に対して、社会学者のマックス・ウェーバーは、近代社会における合理化や脱聖化のプロセスを強調しました。しかしながら、ウェーバー自身も宗教の社会的な機能や影響力については認めており、単純にエリアーデの対極に位置づけることはできません。

また、文化人類学者のクリフォード・ギアツは、宗教を象徴体系として捉え、その解釈を通して人々が世界を理解し、意味づけを行うプロセスを重視しました。ギアツの視点は、エリアーデが前提としていた普遍的な「聖なるもの」の概念に疑問を投げかけるものでしたが、彼もまた、宗教が人間の思考や行動に大きな影響を与えることを認めていました。

このように、エリアーデの「聖と俗」は、その後の宗教研究に多大な影響を与えましたが、同時に様々な批判や反論も呼び起こしました。彼の論考に対する批判は、特定の書物というよりは、むしろ20世紀後半における宗教研究の潮流全体の中に位置づけるべきでしょう。

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