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エラスムスの痴愚神礼讃とアートとの関係

## エラスムスの痴愚神礼讃とアートとの関係

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寓意と風刺の表現

エラスムスの『痴愚神礼讃』は、風刺文学の傑作として知られています。痴愚の女神モーリアを語り手とし、人間の愚かさや社会の矛盾を痛烈に批判しています。この作品の特徴の一つに、寓意や風刺を効果的に表現するために、視覚的なイメージを多用している点が挙げられます。

例えば、モーリア自身の描写は、滑稽でグロテスクな姿として描かれています。これは、当時の宗教画に見られる聖母マリアのような理想化された女性像とは対照的なものであり、読者に強烈な印象を与えます。また、作中では、当時の聖職者や学者、貴族など、様々な階層の人々が風刺の対象となっていますが、彼らの滑稽な言動や醜態は、まるで目の前で繰り広げられているかのように生き生きと描写されています。

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当時の美術への言及

『痴愚神礼讃』では、同時代の美術についても言及されています。特に、宗教画における偶像崇拝的な傾向に対しては、痛烈な批判が加えられています。モーリアは、聖人や殉教者の遺骨や聖遺物を崇拝することに熱中する人々を嘲笑し、真の信仰とは何かを問いかけています。

また、エラスムス自身、北方ルネサンス期に活躍した画家ヒエロニムス・ボスとの親交があり、ボスの作品からも影響を受けていたと考えられています。ボスの作品に見られるグロテスクな表現や寓意的なモチーフは、『痴愚神礼讃』の世界観とも共通する部分が多く、エラスムスが当時の美術動向を意識していたことが伺えます。

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