## ウルフのオーランドーに関連する歴史上の事件
ロシア大使館員事件
小説の冒頭、1600年のイングランドで、オーランドーはエリザベス1世のお気に入りの廷臣として登場します。女王は老齢に差し掛かり後継者問題が浮上する中、オーランドーは宮廷での陰謀や権力闘争に巻き込まれていきます。
この場面は、エリザベス1世の治世末期に実際に起こった政治的緊張を反映しています。特に、女王の従姉妹であるスコットランド女王メアリー・ステュアートを擁立しようとするカトリック教徒の陰謀や、スペインによるイングランド侵攻の脅威など、当時のイングランドは不安定な状況にありました。
オーランドーは、宮廷での立場を利用して、これらの陰謀を阻止しようと奔走します。彼は、女王の信頼を得るために、機転を利かせた行動や勇敢な行動を繰り返します。しかし、彼の行動は、常に成功するとは限りません。時には、誤解を受けたり、裏切られたりすることもあります。
大霜害
小説の中盤、17世紀後半、オーランドーは性転換を経験し、女性としての人生を歩み始めます。この頃、イングランドは厳しい冬に見舞われ、テムズ川が完全に凍結するほどの寒さに見舞われます。
これは、1608年から1609年にかけてヨーロッパを襲った「小氷期」と呼ばれる寒冷期と一致します。この時期、農作物の不作や飢饉が相次ぎ、人々の生活は困窮を極めました。
オーランドーは、女性としての立場から、社会の矛盾や不条理を目の当たりにします。彼女は、男性優位の社会で、女性がいかに不利な立場に置かれているかを痛感します。そして、女性としての権利や自由を求めて、声を上げることを決意します。
18世紀の啓蒙主義とロマン主義
小説の後半、18世紀に入ると、オーランドーはロンドンで文芸サロンに出入りするようになります。そこで彼女は、当時の著名な作家や知識人たちと交流し、啓蒙主義やロマン主義といった新しい思想に触れます。
啓蒙主義は、理性や科学、個人の自由などを重視する思想であり、フランスのヴォルテールやジャン＝ジャック・ルソーなどが代表的な思想家として知られています。一方、ロマン主義は、感情や想像力、自然への回帰などを重視する思想であり、イギリスのウィリアム・ワーズワースやサミュエル・テイラー・コールリッジなどが代表的な作家として知られています。
オーランドーは、これらの思想に触れることで、自分自身の生き方や価値観について深く考えるようになります。彼女は、社会の慣習や偏見にとらわれることなく、自分らしく生きることを決意します。そして、彼女は、作家として、自分の思想や経験を作品に込めて表現しようとします。