ウェーバーの職業としての政治の構成
1. 政治的指導者の類型
ウェーバーは政治的指導者を、その指導の動機に基づき、大きく2つの類型に分類します。
– **為政家として生きる者:** 政治を自己実現の場として捉え、権力や名誉を追求する。
– **政治を職業とする者:** 政治を国民への奉仕と捉え、責任感と使命感に基づいて行動する。
ウェーバーは、近代国家においては後者の「政治を職業とする者」こそが真の政治指導者であると主張します。
2. 政治家の資質
ウェーバーは「政治を職業とする者」が備えるべき資質として、以下の3つを挙げます。
– **情熱:** 政治課題に対する強い関心と、それを実現しようとする情熱。
– **責任感:** 自身の行動がもたらす結果に対する責任感を持ち、常に国民全体の利益を優先する姿勢。
– **判断力:** 冷静かつ客観的な状況判断力と、現実的な解決策を見出す能力。
ウェーバーは、これらの資質を兼ね備えた政治家こそが、複雑な政治状況を適切に導き、国民の幸福を実現できると考えました。
3. 政治における倫理
ウェーバーは政治における倫理として、「信念倫理」と「責任倫理」という2つの対照的な概念を提示します。
– **信念倫理:** 自身の信じる絶対的な価値観や道徳律に従って行動する倫理。
– **責任倫理:** 行動の結果がもたらす影響を予測し、その責任を負うことを重視する倫理。
ウェーバーは、政治家は結果責任を負う立場である以上、「責任倫理」に基づいて行動すべきだと主張します。
4. 近代における政治のあり方
ウェーバーは、官僚制の進展や大衆社会の出現といった近代社会の特質を踏まえ、政治のあり方についても考察しています。
– **官僚制:** 効率性と合理性を重視する官僚制は、政治家の指導力を弱体化させる側面を持つ。
– **大衆社会:** 大衆の政治参加は重要だが、感情的な世論に流されることなく、理性的な議論に基づいた政治が求められる。
ウェーバーは、近代社会における政治の課題を克服するために、強い指導力と倫理観を持った政治家が必要であると結論づけています。