イプセンのペール・ギュントの構成
第一幕
第一幕は、ノルウェーの山間の農村が舞台です。ペール・ギュントは、かつて裕福だった家名を誇る、夢見がちで無責任な若者として登場します。彼は、イングリッドという女性との結婚式に出席するために村にやってきますが、そこで貧しいながらも敬虔なソルヴェイグという女性に出会い、彼女に惹かれます。
第一幕では、ペール・ギュントの性格が、彼の周囲の人々との関係性を通して描かれます。彼は、母親オーセに対しては、子供のように甘えながらも、時折、残酷な言葉を投げかけます。また、婚約者であるイングリッドに対しては、軽薄な態度をとります。一方で、ソルヴェイグに対しては、純粋な愛情を抱いているようにも見えます。
第二幕
第二幕では、ペール・ギュントは、山中でトロール(北欧の妖精)たちに遭遇し、彼らの王の娘であるグリーンを着飾った女と結婚させられそうになります。彼は、トロールの世界での成功と引き換えに、人間であることを捨てることを要求されますが、それを拒否します。
このトロールとの出会いは、ペール・ギュントが自分自身を見失いそうになる危険性を象徴しています。トロールたちは、ペール・ギュントの自己中心的で無責任な部分を体現しており、彼が彼らの誘惑に負けてしまうことは、自分自身を見失うことを意味します。
第三幕
第三幕では、ペール・ギュントは、故郷を離れてから長い年月が経ち、成功した商人として故郷に帰還します。しかし、彼は、故郷の人々から、過去の罪を償っていないことを非難されます。
この場面は、ペール・ギュントが過去から逃れられないことを示しています。彼は、かつての過ちを忘れて成功を収めようとしますが、故郷の人々の言葉は、彼が過去に犯した罪と向き合わなければならないことを突きつけます。
第四幕
第四幕では、ペール・ギュントは、再び世界中を放浪し、様々な経験をします。彼は、奴隷商人、預言者、実業家など、様々な顔を持つようになりますが、それでもなお、自分自身のアイデンティティを見つけることはできません。
この場面は、ペール・ギュントが自分探しを続けていることを示しています。彼は、様々な経験を通して自分自身を理解しようとしますが、結局のところ、自分が何者であるのかを見つけることはできません。
第五幕
第五幕では、老いてすべてを失ったペール・ギュントは、故郷に帰還します。そこで彼は、長年自分を待ち続けていたソルヴェイグと再会します。ソルヴェイグの無償の愛によって、ペール・ギュントはようやく自分自身を認め、救済を得ます。
この場面は、ペール・ギュントが自己受容と救済に至るまでを描いています。ソルヴェイグの無償の愛は、ペール・ギュントが自分自身を認め、過去を受け入れるための catalyst となります。