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イェーリングのローマ法の精神を読む

## イェーリングのローマ法の精神を読む

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ローマ法研究の金字塔

ルドルフ・フォン・イェーリングによって著された「ローマ法の精神」は、19世紀後半に出版されて以来、ローマ法研究の金字塔として、法学者のみならず、歴史家、政治学者、社会学者など幅広い分野の研究者に多大な影響を与え続けています。本稿では、本書を読むにあたって理解を深めるための情報を、推測を排して可能な限り具体的に記述していきます。

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法発展のダイナミズムを捉える

本書の最大の特徴は、従来のローマ法研究に見られたような、法文解釈や体系化に終始するのではなく、ローマ法がいかに生成、発展し、そして西欧社会に浸透していったのか、そのダイナミズムを歴史的、社会的な文脈の中で描き出した点にあります。イェーリングは、法を「民族の精神的生活の産物」と捉え、ローマ人の国民性、社会構造、経済活動、宗教観などが、どのようにローマ法の形成と発展に影響を与えたのかを、膨大な史料を駆使して解き明かしていきます。

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具体的テーマと分析手法

本書は全4巻から成り、それぞれの巻でローマ法の特定のテーマを扱っています。例えば、第1巻ではローマ私法の根幹をなす家族法を扱い、家父長権を中心としたローマ家族の構造と、その法的意義を明らかにしています。第2巻では、ローマ社会における財産、契約、相続といった経済活動に関する法制度を取り上げ、その発展過程を分析しています。第3巻では、ローマの訴訟制度と裁判手続きを詳細に検討し、ローマ法における形式主義と実質主義のせめぎ合いを浮き彫りにしています。そして最後の第4巻では、債権法を取り上げ、その発生から発展、そして体系化に至るまでの歴史を辿ります。

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現代社会への示唆

「ローマ法の精神」は、単なる過去の法体系の解説書ではなく、現代社会における法のあり方についても多くの示唆を与えてくれます。イェーリングは、法が社会の要請に応じて絶えず変化していくものであることを強調し、法解釈においても、条文の表面的な意味にとらわれず、その背後にある社会的な目的や歴史的な背景を考慮することの重要性を説いています。

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