アンデルセンのアンデルセン童話集に影響を与えた本
１００１ nuits
アンデルセン童話集といえば、「人魚姫」や「みにくいアヒルの子」など、今日でも世界中で愛される作品を数多く世に送り出した、デンマークが生んだ偉大な童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの代表作です。彼の作品は、貧しい境遇に生まれながらも、持ち前の想像力と文才で成功を掴んだ彼自身の経験や、当時の社会情勢を色濃く反映したものが多く見られます。
そんなアンデルセンの創作活動に大きな影響を与えた作品の一つとして挙げられるのが、「アラビアンナイト」として知られる説話集「千夜一夜物語(1001 nuits)」です。
「千夜一夜物語」は、古代インドやペルシャなどを起源とする説話が、長い年月を経てアラブ世界に伝わり、１４世紀頃に現在の形にまとめられたとされています。様々な登場人物たちが織りなす、幻想的で奇想天外な物語の数々は、当時から多くの人々を魅了してきました。
アンデルセンもまた、「千夜一夜物語」の世界観に強い影響を受けた一人でした。彼は幼少期に、父からこの物語を読み聞かせてもらったと言われています。空飛ぶ絨毯や魔法のランプ、ジンや妖精といった神秘的な存在が登場するエキゾチックな世界は、彼の豊かな想像力を大いに刺激し、後の創作活動の原点になったと考えられています。
例えば、「千夜一夜物語」には「アラジンと魔法のランプ」のように、貧しい少年が魔法の力で成功を掴む物語や、「アリババと４０人の盗賊」のように知恵と勇気で困難を乗り越える物語が多く存在します。これらの物語は、貧しい境遇に生まれながらも成功を夢見ていたアンデルセン自身の姿と重なり、彼に勇気と希望を与えたのではないでしょうか。
また、「千夜一夜物語」の特徴の一つとして、物語の中にさらに別の物語が挿入されるという、複雑な構成が挙げられます。これは、枠物語と呼ばれる手法ですが、アンデルセンの作品の中にも、この手法を用いたと見られる作品が存在します。
例えば、「絵のない絵本」は、旅する若者が道中で出会った人々から様々な話を聞かされるという、枠物語の形式を取っています。これは、「千夜一夜物語」の構成から直接的な影響を受けたものと考えられます。
このように、「千夜一夜物語」は、アンデルセンの想像力を刺激し、彼の創作活動に大きな影響を与えた作品と言えるでしょう。彼の作品に見られる、幻想的な世界観や、教訓を含んだ物語の数々は、「千夜一夜物語」から受け継いだエッセンスと言えるのではないでしょうか。